シンプルライフについて考える

先日の記事「シンプルライフのインテリア」でも簡単に触れましたが、「モノをたくさん持つことは良いことなのか?」という自分自身へ問いかける声が日々大きくなっています。自分でもコントロールしきれないくらいの量のモノを持つこと……例えば、一番よくある話で言えば、クローゼットに洋服は入っているはずなのに、「着る服がない!」となってしまうこと。必要もないモノを衝動買いしてしまうこと。セールで安いからと言って買った服に、結局そんなに袖を通さないこと。消耗品のストックを買っておこうと思って、買ったらもうすでにストックは用意してあること。
一度だったら誰しも経験があるのではないでしょうか?
モノの収集癖(コレクション趣味)のある人なら、モノのための家なのか、自分のための家なのかよくわからないという人もいるかもしれません。
それって本当に幸せなことなのでしょうか?
そのことについて、もう少し考えてみるために、今回3冊の本を読みました。
✔︎「minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ」
✔︎「ぼくたちに、もうモノは必要ない。 – 断捨離からミニマリストへ –」
✔︎「フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣~」
以上の3冊です。
モノと、私たちの生活との関係に悩む方へ。「持たない暮らし」の幸せを考えてみましょう。
Photo credit: Corners (averaged colors) / sammcox

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「ミニマリスト」という生きかた

minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ
著者のジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスはThe Minimalists(ザ・ミニマリスツ)というユニットでウェブ上にエッセイを掲載していて、そのエッセイを書籍化・また、邦訳されたものがこちら。(✔︎http://www.theminimalists.com/

ミニマリズムって最近よく聞くけれど、なんだろう?」と思ったら、この1冊があればほぼ事足りるのではないかなと思います。決して難しいことではなく、その考え方・目線すらシンプルであること。

ステータス・シンボルを見せびらかすのは簡単なことだ。トロフィーのようにしてね。でも実際には僕は成功者などではなかった。高級車も持っていたし、住人の数よりベッドルームの数の方が多い家も、ほとんど使いもしない最新機器も、ほとんど着もしない服も、社会的に持ってしかるべきとされている虚飾のすべてを(それと、そういう「達成」にはつきものの結構なローンも)持っていた。でも僕はまるで幸せじゃなかった。成功者であるかどうかって、本当は幸福感で決まるものではないだろうか。
当時の僕の生活を羨んでいた人たちは、そういう側面まで見えていなかった。カーテンの内側の人生までは見えないのだから。僕は怯えや負債や不安やストレスや孤独や罪悪感や憂うつを上手に隠していた。感心されそうな外見を、この社会が僕に開示させたがっていることだけを外に見せていた。

そう、彼らは、若くして誰もが羨望の眼差しをむける経済的な成功を手にしていたけれど、「まるで幸せじゃなかった」。そんなところ、2010年にウェブを通じてミニマリズムの考え方と出会い、「人生が変わった」。

ミニマリズムとは何なのでしょうか。彼らは言う、「生活の中から不必要なものをそぎ落として、本当に大切なものだけにフォーカスすること」。

本当に大切なものとは何なのでしょうか。彼らは言う、「健康、人間関係、使命(ミッション)、そして情熱(パッション)の4分野」。

ミニマリズムは、単純にモノを持たないことを指すのだというのは誤解だし、ただモノを捨てればよいということだ、と考えるのはほぼ誤りに近いことがわかります。大事なのは「不必要なものをそぎ落とすこと」。不必要なものは、きっと人によって違うでしょう。持っているモノの数が多いのか、少ないのかは重要なポイントではないのです。そしてその目的は「健康、人間関係、ミッション、パッション」に焦点を合わせること。不必要なモノを手放すこと自体が目的ではないのです。

情熱(パッション)とは

自分が心からやりたいと思うこと
この本にも触れられている、ジョナサン・ミードによるSeven Keys to Discovering Your Passion(パッションを発見するための7つのカギ)によると、パッションを発見するためには:

①情熱的になることに対して自分自身に許可を与える
②探求することを許す
③既に自分が今やっていることを見てみる
④自分に強力な質問をする

  • 対価を支払われないとしても自分がするだろうことは何か?
  • 世界に対して発揮できる自分の才能は何か?
  • 人生の中で最も創造的だと感じた瞬間はいつか?
  • 過去にした仕事の中で2つか3つ素晴らしい例をあげるなら?
  • 何時間も続けて、調べたり話し合ったりしている事柄は何?

⑤それを生み出すことになるかもしれない(…まだ存在していないことかもしれない)
⑥試してみる
⑦幸せでなく、達成することを探す(…幸せは曖昧なコンセプトすぎる)

自分の好きなこと、やりたいことは対価が得られなかったとしても、やりたいこと。加えて、時間も忘れて没頭してしまうようなこと。そんなイメージでしょうか、

使命(ミッション)とは

自分の人生の使命になること。パッションとミッションは重なることもあるし、別々のこともあり、それは人それぞれ。

別の角度から見るなら、「私の人生の意味ってなんだろう?」と自問するのもこれと同義だ。確かにものすごく複雑な設問だということは認めよう。でもご安心を。僕はこれについて何年も考えてきたし、これについて考える他の人々の手助けを何度もしているのだ。
まずはこの設問から複雑性を取り除いてみよう。具体的な答えが何であれ、その答えはいつでも以下の二つにまつわるものになるはずだ。
  個人としての成長
  他者への貢献
言い換えるなら、僕の人生の意味は人として成長することと、意義ある方法で他者に貢献すること。さらに嬉しいことに、どちらをやるにせよ、その方法は自分で決められるのだ。

自分の人生において、自分がやりたいこと、そして自分の人生の意味。少し大きいテーマにはなりますが、今自分が目指すべき方角はどちらなのかきちんと定める、つまり、「未来に焦点を当てる」というイメージが見えてきます。

Photo credit: zen / kingstongal
Photo credit: zen / kingstongal

未来に焦点を当てる

ベストセラー、そしてブームになった『人生がときめく片づけの魔法』は、「胸がときめかないモノをどんどん捨てていく」という、それまでほとんど誰も言ったことがなかった「捨て方」の部分だけが一人歩きしているように思います。ときめかなければ捨てる、というのはキャッチーだしわかりやすいけれど、たぶんその前提にある考え方がブレてしまうと、「モノを捨てたはいいけれど後悔」「捨ててもすぐリバウンド」ということになってしまうんだと思います。

たぶん、一番大事なのは「モノを手放し、部屋を片付けることでどんな暮らしがしたいのか明確にイメージすること」。そのうえで、必要なものだけを残す。残すかどうか迷ったら、そのモノにときめくかどうか、自分に聞いてみる。どんな暮らしがしたいのかゴールが見えていれば、そのモノにときめくかどうかは自分が一番よくわかっている、ということですよね。

「これ、高かったしな……」
必要だ、手放せないと思い込んでいるモノに対しての気持ちは、基本的には「現在から過去への目線」。
ミッションやパッション、または自分がしたい暮らしなど、「自分がやりたいこと」は「現在から未来への目線」。
モノに対して向けている過去への目線を、自分の未来のために向けましょう。とてもとてもシンプルなこと。

でも僕は、人生を変えるために次の3つのことをやった。
 1. 生活を変える決意をした。
 2. 変化を「した方が良いこと」ではなく「しなければならないこと」、つまりマスト事項にした。
 3. 行動した。
それが簡単だったなんて言うつもりはないし、変わることは時には怖かったりするものだ。でも変化しないことよりもずっと良いのだ。生きた屍のようになってしまうよりもずっと良いのだ。

変化を怖れるのは自然なことです。誰もが、よく慣れた行動パターンの中だけで生活したいと思っているはずです。でも、もしそこに不満や疑問があるなら。自分のやりたいことはこんなことじゃないはずなのにと思うなら。
心から自分がやりたいことは何ですか?それができないのはなぜでしょう?
あとは変化に飛び込むだけ。やりたいことにフォーカスするだけ。

「必要ない」と煽られてみる

ぼくたちに、もうモノは必要ない。 – 断捨離からミニマリストへ –
「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」清々しいくらいの断言です。
先ほど、ミニマリズムについて理解するには、『minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ』の1冊があればほぼ事足りると書いたけれど、あえてこの本をあげるのは、
日本の本なので文化的により親近感が湧く
モノの手放し方などについても具体的なので、How to本として最適
という理由からです。

「ミニマリストの考え方が理解できたので、不必要なもののインスピレーションがどんどん湧いてきた!どんどん手放したい!」という方には必要ない本だと思います。「大切なことを大切にするのが大切って、それは当たり前すぎてわかっているけれど……」「一体モノを持たないこととどんな関係が……」「あれもこれも、手放す自信がない……」きっともやもやした気持ちを抱えている人のほうが多いはずです。
そんな人の背中を押してくれる本です。

物語を紡ぐ

モノを少なくすることは「目的」ではない。ミニマリズムはそれぞれが違う大事なものを見つけるための「手段」。肝心な物語を紡ぐための「序章」がミニマリズムだ。

先ほどのThe Minimalistsの「ミッション、パッション」という表現は、アメリカの営業マンっぽいし、この「肝心な物語を紡ぐ」という表現は、編集者の方っぽいなあ、と思います。(関係ない?)
表現の仕方は違うけれど、根幹にある考え方は一緒。モノにまつわる「過去」に焦点を合わせるのをやめ、自分自身の持つ「未来」(=物語)に焦点を合わせること

行動レベルでモノを手放していく

具体的な行動レベルで、「捨てる方法」と「捨てた後の変化」が書かれているので、読んでいるとだんだんミニマリストになるべく説得されているようです。

✔︎目次の章立てはだいたいこのような感じです。

  • ミニマリストはなぜ生まれたのか
  • なぜ、モノをこんなに増やしてしまったのか
  • 捨てる方法 最終リスト55
  • モノを捨て、ぼくが変わった12のこと
  • 幸せに「なる」のではなく「感じる」

まず、①ミニマリストという言葉が生まれた背景、②モノを増やしてしまった原因、③対策(→捨てる方法)、④結果、⑤結果の先にあるゴール(→幸せとは?)と、体系立ててゼロから書かれているため、モノを手放すことについての戸惑いはかなりの割合なくなるんじゃないかと思います。

幸せとは何か

人間として生まれてきた以上、100%の人が「幸せになりたい」と思っているはずだと思います。そして、幸せになりたいからこそ、「あれさえ手に入れば幸せになれる」と思い込み、モノを手に入れ、結果、現状への不満から引き寄せた、不満の権化のような「モノ」に囲まれ、「モノ」にコントロールされ、更なる不満を引き寄せてしまうという悪循環。
「モノを手放す」ということ以前に、「自分にとって幸せとは何か?」ということをきちんと分かっていないと、悪循環からは抜け出せないですよね。
この本には著者の佐々木さんが見つけた「幸せとは何か」という答えがちゃんと用意されています。肩から重荷を降ろした方にしか書けないことだろうなと思います。

Photo credit: Minimalismo II / etringita
Photo credit: Minimalismo II / etringita

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ルールに縛られず、自由に、シンプルに

ベストセラーとなった『フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣~』は、(Amazonのレビューに散々書かれているように)たった10着の服を上手に着まわす本ではなく、どちらかというと、副題の「パリで学んだ”暮らしの質”を高める秘訣」という部分が主題の本。(そして、シーズン毎に10着ずつなので、1年を通すと40着以上は持っている。)

パリジェンヌの上質な暮らしの本をどうしてミニマリズムの流れであげるのか、というと、生まれながらにして生活をシンプルにし、シンプルであることを心から楽しみ、幸せに生活することこそが「シック」であって、移り変わる流行を追い求めることが「シック」では決してないということ。生まれながらにして「足るを知る」、地に足のついたシンプルな衣・食・住のガイダンスブックだと思ったからです。

40着の洋服は、多いのか少ないのか

「モノを持たない原理主義」の方は、40着以上も洋服を持っているなんて!多すぎる!と思われるかもしれませんが、私はそういう風には思わないです。この本に出てくるマダム・シックは自分のことを良く知っているから。自分のことをよく知っているとは、例えば:

  • 自分に似合うものを知っている
  • 自分の住んでいる場所の気候を知っている
  • 自分の生活パターンを知っている

他にもまだあるかもしれないけれど、まずは自分に似合うものを知っているから買い物で失敗することもない。寒冷地と温暖地では、必要な服の種類も数もまったく違うはずです。(赤道直下でダウンコートが必要でしょうか?)

生活パターンを知っているから、どこにどんな洋服を着るべきか自分自身で自分のことをわかっている。例えば、スティーブ・ジョブズのようにいつも同じ洋服というのは合理的だし、あれはあれで素敵だけれど、固めの金融系の企業に勤めている人がオンもオフもいつも同じスーツ姿だったら悲しい……。スティーブ・ジョブズはアップルのCEOだしあれだけ有名人だし、同じ格好をすることすら、無駄を徹底的に省いたアップルという企業のブランディングの一部になるのだから、あれは彼にとって、自分自身を完全に知ったうえで、「必要最低限」だったということだと思うのです。

オンとオフ、オフの中でも「くつろげる服」と「スポーツをするための服」は違うはずだし(ニットを着て思い切り汗をかいてスポーツをしたらニットがフェルト化してしまいますよ!)、フリーランスの人と企業人の服も違うはずだし、業界によっても違うはずだし、それぞれの趣味でも違うはずだし、それぞれの生活パターンによって自分が選べば良いと思うのです。他人の基準に合わせたミニマリズムなんて、結局ただの大量消費の単純な裏返しでしかない気がしています。大事なのは、繰り返しになりますが、自分の未来に焦点を当てること。自分が本当にやりたいことのために必要なものを選ぶこと。まずは自分自身のことがきちんと見えなければ、モノを得ることで他人から押し付けられる「幸せ(のように見えるもの)」を掴もうともがいているのと同じように、他人が決めた基準に合わせてモノを手放していく(そして後悔したり、リバウンドしたり、やっぱり自分には無理なんだと諦める)ということのような気がします。

「当たり前」を最大限に楽しむ

この本には「当たり前」のことしか書かれていません。でも、当たり前のことを当たり前に楽しむということが、簡単なことのように見えて、一番難しいのではないでしょうか?
例えば、こんなこと:

ムッシュー・シックがカマンベールを「チーズの王様」と呼ぶとき、彼はいつも熱心に、茶目っ気たっぷりにそう言った。ムッシューが夕食のたびにカマンベールを王様扱いするのは愉快だったし、本当に素晴らしいチーズだと思っているのが伝わってきた。

三度の食事を心から楽しむこと。景色を楽しみながら買い物をすること。
少なくとも、現状の不満から、最新のモノを次々と手に入れるような状況とは無縁だと思います。普段の生活を楽しんでいるのだから。

普段の生活をよりシンプルに、そして、より楽しむために視点を変えてみたい
そんな風に思ったら、この本が役に立つかもしれません。

あなたにとっての「幸せ」とは何ですか?

ここまで読んでくださった方は、きっと変わりたい、変えたいという気持ちが強いのだと思います。(私もそうです!)前に進もうとして、モノを手に入れてきたと思うんです。でもちょっと待って!少し立ち止まって、自分のことをよく考えてみましょう。

  • 自分が今やりたいことは何だろう
  • 自分が他の人に与えられることって何だろう
  • 自分が理想とする暮らしって何だろう

その方向さえ見えれば、あとはその方向に進んでいくのに必要なモノだけ手元に残して、身軽になって、行動するだけ。視界が広くなるから、自分の手元にすでにあった幸せにも気づきやすくなります。シンプルな生活でも満ち足りた気持ちになります。まずは自分のこと、自分の未来に焦点を合わせる。シンプルでしょう?

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